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京都 ひとり飯(8) 清水五条 焼きそば専門店 『おやじ』

時々、無性にソース焼きそばが食べたくなります。最近、以前からチェックしていたお店に行くことができたので、備忘も兼ねて書いておくことにします。『おやじ』という名前のお店です。

松原通りを川端通りから清水坂の方に向かう途中にあります。ちょっとわかりにくい通りです。

焼きそば専門店です。メニューは焼きそばとライスしかありません。

この店は、昼(11時から13時15分)と夜(17時15分から19時)のごく短時間しか開いていないので、なかなか行くことができませんでした。オーダーの仕方などが難しいことは、グルメサイトの口コミでチェックしていたので、ちょっと心理的ハードルが高く、迷いましたが、先日、仕事が早く終わったので、意を決して行ってみました。

17時半ごろお店に到着。先客はだれもいません。カウンター(鉄板)の向こうには眼光鋭い女性(以降、敬意を込めておばさんと呼ばせていただきます)がひとり(グルメサイトの口コミでの予習通り「おやじ」は居ません)。予習によると、座る場所も指定されるとのことだったので、どこに座ったらいいのかしばらくキョロキョロ迷うふりをしてみましたが、その間、おばさんは無言です。特に指示もないようなので、だれも客がいない時にはどこでもよいのかなと思い、「ここでいいですか」と声をかけながら真ん中あたりに座ろうとすると、待ってましたとばかり「こちらにお願いします」と別の席を指示されました。そうきましたか。「いけず」な京都人。勉強になります。これでめげていては京都では生きていけません。

ここからは、完全におばさんのペースです。続いて、壁ぎわに置いてある黄色い紙に注文を書くように指示が出ます。予習通り、そばの玉数と追加の具材を書き込みます。「2つ、豚肉、たまご」。イカ、キャベツ、ちくわはデフォルトで入っています。

ついで、壁ぎわにあるコップをとって、給水機からセルフで水を入れるように指示されます。「コップでその灰色のところ押すように」と手取り足取り。よくあるタイプの給水機なので、言われなくてもたいがい誰でもわかると思うのですが。その間、おばさんは鉄板の中央で麺と具材を炒め始めます。とっても手際よいです。2、3分でキャベツがしんなりなってきました。合間を見て、お皿と割り箸が渡されます。次は、ソースです。辛いのをいれるかと聞かれましたが、どれぐらい辛いかわからなかったので、「甘いので」と答えました。ソースをたっぷりかけて炒めると、ソースの香ばしい匂いが立ち込め、食欲がそそられます。

しばらくして、目の前のところまで、焼きそばが移動してきました。そこで、「卵は焼くか」との問い。予習通り「そのままで」と答えます。すると、「真ん中に穴を開けるように」という指示が。チキンラーメン風に、麺の真ん中を開けます。そこに、おばさんが卵を割って入れてくれました。(結局、卵は麺の中に埋没して、存在がほとんどわからなくなっていまいました。)

その後、「どうぞ」とも「おまたせ」とも何もいわれないまま、しばし沈黙が続きました(さっきまでの指示だしモードはどこにいったのでしょう)。そのうち、おばさんが何かをしに奥に行ってしまったので、これで完成なんだとわかりました。

「写真撮影はご遠慮ください」という張り紙が目につくところに2枚あったので、写真はなしです。2玉で300gぐらいでしょうか。ちょっと多いかなと思えるぐらいですが、一玉だと、もの足りなかったと思います。大ぶりのキャベツが、結構はいっています。ほどよい味加減で、まさに求めていた味です。ソースは酸っぱすぎず、ちょっと甘めですが、まとわりつくしつこさはありません。麺もストレートでエッジが立っていて、ちょうどよい太さと硬さです。鉄板の上に乗っているので、最後まで冷めません。

そのうち、鉄板の熱で麺が焦げ付いてきます。あと、一皿ぶんぐらいになった絶妙なタイミングで、おばさんがいきなりヘラでお焦げをこそげ取り、「載せますか」と。「はい、お願いします」と私。手元のお皿の上に載せてくれました。それとなくタイミングを計っておられたようです。麺にイカの風味が染み込んで、ソースも一緒に焦げていて、最後のご褒美という感じです。

そうこうしている間に、常連と思しき客が、ひとり、またひとりと入ってきました。常連客との会話が弾んでいきます。おばさんは話し好きなようです。

これで1050円也。ちょっと高めかなとも思いますが、行けるのは年に数回だし、味も満足で、おまけにディープな京都文化を垣間見ることもできて楽しかったので良しとしましょう。ごちそうさまでした。また、思い立って時間が合えば伺いたいと思います。

ひとりごはんには最適です(営業時間がかなり限られていますが)。今回は、私も含めて「おやじ」のひとり客しかいませんでした。しかし、一見の客もおばさんの振り付けに従うだけ済みますから、老若男女、だれでも大丈夫そうです。