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京都 観光スポット(8) 岡崎 『無鄰菴(むりんあん)』 

動物園や南禅寺から、ほど近いところにあります。

明治時代の政治家で軍人でもあった、山縣有朋公の別荘の建物と庭園が無鄰菴として公開されています(入場料410円)。京都を代表する名園として紹介されることは多いのですが、団体客、修学旅行生とは無縁なので、いつも比較的空いています。

山縣公は多趣味な人で、作庭もそのうちの一つだったとか。山縣公が手がけた庭園には、椿山荘(東京)などがあります。無鄰菴は山縣公のサポートのもと、7代目小川治兵衛が作庭。

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琵琶湖の疎水が滝として庭内に引き込まれ、涼しげな水音を奏でながら小川を流れます。池ではないので、水が澱んでいないのがいいですね。遠くに望む東山の借景も実に見事。

ここの一つの特徴は、他の日本庭園ならば、苔がはりつけられているところに芝が植わっているところでしょう。そのせいで庭園の「地」となる緑色が明るく鮮やかです。苔は日当たりの良いところを好まないので、木の根元あたりは青々としていても、それ以外のところは茶色く枯れていたりといった庭を時々見かけますが、ここでは、そのようなことがありません。もちろん、ここぞ、というところには苔があります。

縁側に腰かけて、しばし庭を眺めます。なんだか昔懐かしい感覚が湧き上がってきます。他の庭園にはない感じです。多くの日本庭園は、ある意味の非日常性を感じます。枯山水などは、その最たるものでしょう。どうしても禅の心とか神仙思想とかといった言葉で理解しようとしてしまいます。しかし、不思議なことに、無鄰菴では、そのような堅苦しさを感じないのです。ここは、敷居の高い宗教性や芸術性ではなく、来訪者を自然に受け入れる寛容さが際立っている気がします。やっぱり、寺院の庭と別荘の庭の違いでしょうか。そんなわけで、目下のところ私にとっては京都市内で最も落ち着ける庭です。

敷地の一角に建つ洋館は、1903年(明治36年)4月に元老山縣有朋伊藤博文立憲政友会総裁)、桂太郎首相と小村寿太郎外相の4人が日露戦争を決断した、いわゆる「無鄰菴会議」が開かれたところだそうです。私は歴史が苦手で、特に日本の近現代史には疎いのでピンときませんでしたが。


強いて言えば、すぐ脇を車が走るので、時折、静寂が邪魔されることが唯一の難点ですね。