京都観光スポット(2) 相国寺承天閣美術館 森田りえ子展(終了しました)

私が、定期的に企画展をチェックしている美術館が幾つかありますが、そのうちの1つが相国寺承天閣(しょうこくじ、じょうてんかく)美術館です。

同志社大学今出川キャンパスの北側にある、相国寺に併置されています。お寺に併設の美術館というと、宝物殿のような、地味なものを想像するかもしれません。しかし、ここは、それとは全く異なる、立派な美術館です。京都駅からは、地下鉄で行けるので便利です。東京には、この規模の美術館はたくさんあると思いますが、京都の美術館は、やはり、どこか京都らしい企画が多い気がします。

承天閣美術館相国寺金閣寺銀閣寺、その他の系列のお寺(塔頭)の美術品を収蔵しているのだそうです。常設展示では、国宝の茶碗を始めとした茶器の名品に触れることができます。それに、並ばずに、ゆっくりと伊藤若冲の絵(数点ですが)を間近に見ることもできます。

現在(2016.4.5 – 2016.6.19)、日本画家の森田りえ子さんの作品を展示中です。森田さんが描かれた金閣寺の方丈の杉戸絵も含め、花鳥風月を大胆な構図と鮮やかな色彩で描いた作品の数々に圧倒されます。しかも、どれも大味ではなく、繊細な筆致と計算された構図で、いくら見ても飽きません。また、アニメのキャラクタのような女性を描いた一連のシリーズなど、意外性のある作品も楽しいです。私は、実は、森田りえ子さんのお名前も今回はじめて知ったぐらいの素人で、鑑賞眼にも全く自信がないのですが、そんな私でも、十分に楽しめる、ある意味、とてもわかりやすい作品ばかりでした。たちまち大ファンになってしまいました。「いのち賛歌」というのが企画展のタイトルですが、そこからイメージされる(たとえば一茶のような)静かで枯れた感じではなく、もっと明るさと元気を感じるポジティブな作品が大半です。芸術の初心者には、特に「食べず嫌い」の方には、一見の価値ありです(あくまで主観ですが)。

相国寺の方丈などは季節限定でしか公開していませんが、同志社大学のキャンパスを見学がてら、京都っぽい芸術に触れるのも、少し得した気分になるひとときです。


京都ひとり飯(4) 四条木屋町 イグレック

四条木屋町四条通りから北にちょっと上がったところ)の高瀬川近くのビルの2階にあります。

京都には個性的なカレーのお店がたくさんあり、また、カレーの好みは、個人によって随分違うので、万人に受けるかどうかはわからないのですが、私は、ここのカレー、特に「野菜カレー(900円)」が気に入っています。

フランス料理のシェフをされていたというマスターと奥様が切り盛りされている家庭的なお店です。フランス料理のスープをベースにしたような、優しい味のルーに、ソテーした季節の野菜が後のせでトッピングされます。彩りも味も満点。日頃の野菜不足が一気に解消される気分です。山芋とキャベツのピクルスも相性抜群。決してパンチの効いた辛さではないのですが、私は、これぐらいの辛さで十分に満足です。

カレーの他に一品料理が5品ほどあります。季節によって内容は多少変わるようです。夜には、これらのうち一品をつまみに、ビールやワインを少し頂いたのち、〆にカレーというのが私の定番です(これで3000円ぐらい)。週末の夜ともなると、窓の下では若者が大騒ぎをしていますが、そんな喧騒も忘れて、ちょっと上品なカレーを味わうのも一興です。

店内は、カウンター6人分ぐらいとテーブル2つ。カウンターは、ひとり客がほとんどです。老若男女、いろんなひとり客を見かけます。カウンターからは、季節によっては、窓越しに高瀬川沿いの桜がよく見えます。

話しかければマスターも奥さんも気さくに答えてくれますが、適当な距離感が心地よいです。まちがいなく、ひとり飯のためのお店です。


京都観光スポット(1) 等持院(とうじいん)

等持院龍安寺の南にある立命館大学の南東にあります。龍安寺からも歩いて行ける距離ですが、龍安寺の賑わいに比べると、ひっそりとしています。

今の時期(5月から6月にかけて)はサツキが見頃です。新緑に、丸く刈り込まれたサツキが新緑や水面に映えて実に華やかです。静かな境内で、新緑の庭を眺めていると、しばし心身がリフレッシュされた心地です。(サツキとツツジは違うのですね。恥ずかしながら、初めて知りました。)

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龍安寺のついでに寄って、龍安寺の白砂と石だけの簡素な庭とのコントラストを楽しむのも一興かもしれません。

歩いて庭を散策できます。2つの池があり、一廻りしても10分程度ですが、さまざざまな景色を楽しむことができます。園内には足利尊氏墓所もあります。

そもそも「等持院」というのは、尊氏の法号だそうです。以来、足利家の菩提所として、一時は栄えたようですが、昭和初期の経営難から、敷地を住宅地や墓地にしたため、往時の風格はなくなってしまったのだといいます(*1を参考)。確かに、山門の中に、普通の住宅が建っているのは、珍しい光景です。せっかくの衣笠山の借景に、立命館大学の高い建物が写り込むのも、今のご時世、しょうがないですね。

サツキは、詩仙堂も有名ですね。私は、この時期の等持院詩仙堂ともに、一押しです。


*1:山折哲雄(監修)、槙野修(著)、決定版「京都の寺社505を歩く<下>洛西・洛北(西域)・洛南・洛外編」PHP新書466、(株)PHP研究所(2007)


京都観光スポット(0) ひとりごと

「青もみじ」ということばは、麻生圭子さんの京都紹介の本で、はじめて知りました。「もみじ=紅葉=秋」と思い込んでいたので、目から鱗でした。このことばは、京都ネイティブの方々には常識かもしれませんが、関東に長く住んでいた私には、新鮮でした。そんな楽しみ方があるとは。

桜の季節が過ぎ、ゴールデンウィークの騒々しさも過ぎたころから、入梅前の束の間は、新緑が美しい時期です。特に、紅葉の名所はどこも新しい葉が繁り、目にも鮮やかな青もみじの情景が広がっています。太陽の光を透した緑色のもみじ葉が優しげに風にそよいでいる光景は、カラフルな紅葉とはちがった、でもそれを凌駕するぐらいの美しさです。しかも、この季節、どこの紅葉の名所も、時間帯によっては、ほぼ貸切状態が期待できます。縁側に腰掛け、誰にも邪魔されずに、静かに青もみじを眺めていると、「心が洗われる」のが実感できます。やがて枯れゆく我が身を知らず、青春時代を謳歌する純真無垢な若者、という喩えはちょっと大袈裟でしょうか。

京都に移り住む前にも、仕事でたびたび京都には来ていました。そんなあるとき、京都駅から乗ったタクシーの運転手さんに、「仕事が終わられたら、どこか観光されますか」と聞かれました。「別に」と答える私。京都の主な観光スポットは、すでに何回か行っていたし、こちらは仕事で来ていて、そこらの観光客とは違うよとカッコつけて答えたつもりでした。「せっかく来られたのなら、1時間でも、新幹線に乗られる前に、どこか寄られたらどうでしょう。行ったことがあるところでも、季節によって景色が違いますよ。有名どころでなくても、いいところが京都にはたくさんあります。」と運転手さん。そのことがずっと頭の片隅に引っかかっていました。

その頃の私は、清水寺金閣寺龍安寺銀閣寺などの有名なところは、何回か行ったし、この忙しいのに、今更、あえて混んでいるところに行ってもなあ、といった気分でした。どれも、同じような古いお寺だし。

その後、縁あって京都に住むようになり、ふとタクシーの運転手さんのことばを思い出しました。せっかくなので、仕事の合間をみて、これまで行ったことがないところに出かけてみようかと思い立ちました。

忙中閑あり。今では、忙しいからこそ、静かな庭園で何も考えない時間を持つ、仏像を眺めて心を鎮めるような時間を持つ、といったことが大切なのかもと思っています。いろいろ巡ってわかったことは、旅行ガイドには載っていないところや、載っていても扱いが数行で写真すら載っていないようなところでも、庭、仏像、季節の花、建物、襖絵など、何か一つは見るべきものがあるということです。これこそが、京都の醍醐味。テレビもインターネットもない時代の、ゆっくりとした時の流れを思い浮かべながら、ちょっとした季節の移り変わりにもののあわれを感じた、往時の人々の気持ちに触れた気分です。

そんな、京都の隠れた名所を備忘のために書いておこうと思います。

メジャーなところは見飽きたので、あまり観光客のいないところで、ゆっくりしたいという方にも、おすすめの場所を紹介します。あとは、かつての私のような、出張の合間にちょっとだけ京都に触れてリフレッシュしたいという方々にも、ぜひ参考にしていただければと思います。ほとんどが、京都駅や四条あたりから、バスで片道230円(遠くて片道1時間以内)の範囲です。

京都ひとり飯(3) 烏丸御池 Soto(ソト)

烏丸御池駅近くの定食屋さん。姉小路通の学校風の建物の向かいの串カツ屋さんの地下にあります。入り口がちょっとわかりにくいのですが、大きく「めし」と書かれた看板が目印です。

京都を紹介した雑誌の特集などでときどき取り上げられていて、京都の定食屋の筆頭のようなお店です。いつ行っても賑わっています。ときどき地下に降りる階段の途中ぐらいまで列が伸びています(3、4組が待っている状態)。定食屋として利用する客とカフェとして利用をする客とが混在していて、中には飲み物だけで話し込んでいるグループがあったりするので、回転があまり良くないこともあります。

600〜800円台で定食が食べられます。量も味も、私にとっては最適です。ライスは白米か十六穀米を選べます。卓上の使い放題のふりかけも嬉しい。

カフェ風のお洒落なドリンクなどもあるようですが、そちらは未挑戦です。

客層は、20〜30歳ぐらいが中心で、たまに40歳台ぐらいの男性グループが仕事帰りのような出で立ちで混じっています。私のようなおじさんはちょっと珍しいのですが、特に気兼ねなく過ごせます。ひとり飯組も多数で、女性ひとりも珍しくありません。

お店は、比較的遅くまでやっていますが、日替わり定食などの人気メニューは早々に無くなります。

自転車で行かれる方は、停める場所に注意しましょう。近隣とトラブルになっているようです。どこに停めたらいいかを、必ずお店の人に確認するようにしましょう。私はいつも、向かいの学校風の建物の側の、歩行者の邪魔にならないところに置いています。


京都ひとり飯 朝食編(2) SIZUYA(志津屋) 三条店

モーニングセットは、京都に限らず、主に喫茶店やパン屋さんが提供していますが、喫茶店のモーニングセットのトーストは、往々にしてパサパサだったりして味気ないことが多く、一方、パン屋さんで出てくるコーヒーはシャビシャビで風味に乏しく、がっかりしたりします。でも、まずは美味しいパンをということになると、パン屋さんのモーニングセットを選ぶのがベストでしょう。

お店の看板にはSince 1948と書かれています。戦後(といっても応仁の乱ではありません)、間もない頃から、今日の京都のパン文化を支えてきたのでしょうね。

こちらのお店(三条店)では、1階の店舗で買ったパンに飲み物を付けて1階か2階のイートインコーナーでいただくことができます。また、モーニングセットもあります。モーニングセットも1階のレジで注文し、番号札をもらって席に着きます。

こちらのモーニングセットは2種類。トーストとゆで卵がついて390円のがありますが、私は、いつもトーストにサラダ、目玉焼き、ハム1枚と飲み物がついて500円のを頼みます。厚切りのトーストの味は文句ありません。コーヒーも、ホット、アイス共に満足なクオリティです。サラダのキャベツが乾いている感じがするのは、ご愛嬌といったところですが、プラス110円で、サラダとハムがつく500円のセットの方が、お得感があります。

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店内は明るく清潔です。ちゃんと分煙されているのも嬉しいところです。また、朝7時から営業というのも、1日を有効に使いたい時にはありがたいです。

京都ひとり飯 朝食編(1) からふね屋珈琲店 三条本店

京都でモーニングといえば、「イノダコーヒー」や「伊右衛門サロン」が有名ですが、もう少しお手頃で、待たずに入れるところを紹介します。

からふね屋珈琲店三条本店です。河原町通を三条より少し南に下ったところにあります(通りの西側)。

朝食はたいていコンビニのおにぎりかサンドイッチで済ませますが、たまにはモーニングをという気分のときに、ときどき利用します。珈琲とパフエで有名なお店らしいけど、私は朝食しかいただいたことはありません。

朝食セットのメニューは以下のとおり。
・ドリンク代+0円でトースト、サラダ、ゆで卵
・ドリンク代+50円でハムサンド、オムレツ、サラダ、オレンジ
・ドリンク代+100円でスープリゾット、ヨーグルト、サラダ
・ドリンク代+200円でフレンチトースト、オムレツ、ポテトサラダ、スモークドフランク、オレンジ

もっぱら+50円のハムサンドのセットをいただきますが、結構なボリュームです。ブレンド珈琲とセットで500円は、お得感があります。

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二日酔いのときなどには、+100円のスープリゾットとヨーグルトのセットも嬉しいです。

京都ローカルの老舗喫茶店では、分煙になっていないところが多いのですが、こちらはフロアーが分かれていて快適です。窓がなく、どちらかというと雰囲気は夜のお店なので、清々しい朝の気分を演出するには物足りないかもしれません。また、営業が朝9時からなのですが、もし8時から開いていたら、私にとっては、この界隈の一押しのモーニング間違いなしです。

※ホームページを見たら、モーニングセットは三条本店でしかやっていないみたいです。要注意。